コラム

確定申告 一時所得に係る経費(保険料)に関する判例

確定申告・税務調査法人個人

 

医療法人では、多額の保険に加入することが結構あります。

(もちろん他の業種でもありますが・・)

税務的にグレーな保険に加入する傾向がある気が、個人的にはしています。

 

税務の知識の乏しい外交員の案内で、税務的リスクがないような説明を受けて

今期の利益を減らし節税できると加入されているような気が個人的にはしています。

 

 

 

最高裁判所がH29年9月8日付けで、とある上告を

”棄却”・上告受理申立てを”不受理”とし、判決が確定しました。

 

<事件概要>

 

医療法人で加入した生命保険契約(低解約返戻金タイプ)

法人で損金経理

(安い)解約返戻金相当額により、理事長に承継

理事長が解約、(多額の)解約返戻金を受領

 個人の所得発生

 

<争点>

理事長の一時所得の計算上、

医療法人が支払った保険料は、控除できるか?

 

納税者:控除できる

課税庁:控除できない

 

法人で経費にしている保険料を、個人の所得計算で控除できるスキーム

ということで、会社オーナーや医療法人相手に結構売れまくったとか・・

 

<判決>

控除できない

 

自分でも払っていないし、1回会社で経費になっている支出を控除できるわけない

 

2度経費になるってどういうことだろうと思っていましたが、

私は幸いに関わることもありませんでした。

税務の根底に流れる部分を無視していて、スキームと呼べるレベルじゃないし

音谷としては、この発想の理解に苦しみます。。

最高裁で負けたし、売り込んだ営業マン・・・ 

 

先月知人の税理士から同タイプ保険について、意見を求められました。

加入してしまった保険税務の取り扱いについてでしたが、

もしかすると加入者はこのスキームを利用するつもりの加入かもしれない・・

知人税理士にこの判例をお知らせせねば。

 

 


 

 

 

私のところにも、保険については社長から相談があります。

私も保険を取り扱ってはいますので、必要があれば勧めますが、必要が無ければ勧めません。

 

社長達は、同友会や○○クラブなどに参加されます。

そこで親しくなった方の中に、だいたい保険外交員の方がいます。

 

元証券マンの私からすると、

社長=見込客 ・・^^;

 

 

「音谷さん、最近●●で仲良くなった人がさ、保険勧めてくれるんだけど、どう思う?」

 

「どうも思いません。。」

 

「折角何度も来てくれてるし、そろそろ●●だし、入ろうかと思うんだけど・・内容みてくれない?」

 

「それは構いません・・が、

私が勧めないのは、会社の状況を考えたらタイミングとして今ではないからです

会社としては○○の状況ですから、前からお話しているとおり・・・。」

 

「そうだったね!そうかーそれで前も見送ったんだった。

話聞いてると、なんだか入らなきゃという焦った気持ちになってね。」

 

「相手は営業マンですからね・・

会社の保険は、税理士経由で加入されることをお勧めします。なぜなら・・・。

というか社長、保険の話は全部私に相談されていますが、弊所では一件も加入されていませんよ^^;」

 

「ほんとだね!まー折角何度も来てくれるのに可哀想だけど、

会社の保険は、一番状況が分かってる音谷さんに任せるわ。

その方がイザという時安心だしね」

 

「なんだかデジャヴの気が致しますが、そう思って頂けるのは嬉しいです。」

 

 

税理士でありながら、周辺のことを相談されるということは嬉しいことです。

しかし、保険については、一概に比較も出来ませんから、難しいところです。

結局”自分なら如何する”と応えるだけです。

前にとある社長に、”音谷さんなら如何する”を聞きたいから聞くんだと教えてもらいました。

たしかに、士業でクライアントに自分の意見を伝えるということをする人は少ないなぁ。

 

税理士

音谷麻子

 

 

 

 

 

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