コラム

庭内神祠(ていないしんし)の相続税評価

相続

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昨日は、

 

相続税の評価のための土地実測に行きました。

 

 

測り続けること、30分も経つと、汗で虫除けが流れた様子で、

大量の蚊に襲われながらも、木を掻き分け、蜘蛛の巣にかかりつつ、

評価方法を検討しながら、測ります。

 

 

公図が全くアテにならないだけなら、実測すれば済むのですが、

 

広大で、利用方法も多岐にわたる土地で境目も公図と異なり・

頭を悩ませつつ、知識と知恵を絞り、事前に目星をつけ一通り評価します。

その後、

現地を観ながら再検討しつつ、実測します。

 

持ち主は、全部自分の土地なので、

登記がどうだ、関係なく、利用するのは当たり前です。

 

しかし、ひとたび相続となると、その一帯の土地を

利用区分等によって、区別する必要が出てきます。

同じ畑でも、生産緑地とその他では、別評価なので、境目を検討します。

同じ宅地でも、自分が使っている土地と他人に貸している土地、月極駐車場・・

別評価なので、境目を検討します。。

 

 

やっぱり大切だなぁと思ったのは、

相続人の方が、何気なく話して聞かせてくれる

亡くなられた方の”言ってたこと”

 

境目が公図と全違っても、話を聞くと、

境目に意味があったり、(オリジナル)目印があったり、

それが、土地の区分に大いに役に立ちます。

 

”こういう理由で、この土地の使い方になった”

というお話からも、分かることがあります。

 

私は『そうですか』と興味津々で伺いながら、

土地の評価と結び付けています。

 

あらゆる書類から私が推測していることと、

相続人の方の話が違うなぁ・・という時には

「ん~おかしいですね~

○○から推測すると、○○じゃないかと思っていたんですが・・」

と伝えます。

 

そうすると、

「あっ、そういえば、、」

と記憶が繋がって、手元の書類と整合性が取れることも多いんです。

 

 

 

相続人の方も、懐かしいやり取りを思い出されるようです。

そうやって、亡くなられた方を思い出すということが、

供養になっているような気が、私はしています。

 

 


 

さて・・昨日は、

道路周りを測った後、土地の中も測りました。

 

必要な箇所を測りつつ、

周りも観察!

 

なんと、

庭内神祠(ていないしんし)発見!

 

庭内神祠は、当然ながら公図にも、地図にも載らないので、

現地に行って見つけるか、話から気がつくか、見逃しがちです。

 

祠はもちろん、その敷地等が密接不可分の関係である場合等には、

相続税は非課税です。

詳しくは→国税庁HP

 

 


 

 庭内神祠の土地については、当局が敗訴し、

平成24年7月に課税上の取扱いを変更しています。

(東京地裁平成24年6月21日判決)

 

従前は、『庭内神祠』そのものは、非課税でした。

しかし、その敷地については、非課税ではありませんでした。

 

でも、墓所等は、その敷地も含めて非課税ですから、ヘンですよね?

そこで気概のある(?)納税者が立ち上がり、当局と争ってくれました。

結果、当局が敗訴し、庭内神祠の敷地等も非課税の取扱いとなりました。

 

 

<判決の内容>

 

庭内神祠とは、屋敷内にある神の社や祠等といったご神体を祀り

日常礼拝のように供しているものをいいます。

ご神体とは、不動尊、地蔵尊、道祖神、稲荷等で、

特定の者又は地域住民等の信仰の対象とされてるものをいう

 

本件は、「庭内神祠」の敷地について、相続税法12条1項2号の非課税規定

(墓所、霊びょう及び祭具並びにこれらに準ずるもの)のうち

「これらに準ずるもの」に含まれるか否かを巡って争われた事案である

 

庭内神祠の敷地のように庭内神祠等の設備そのものとは別個のものであっても、

このことのみを理由として、これを一律に「これらに準ずるもの」から排除するのは相当ではなく、

当該設備とその敷地、附属設備との位置関係や当該設備の敷地への定着性その他それらの現況等といった外形や、当該設備及びその附属設備等の建立の経緯・目的、現在の礼拝の態様等も踏まえたうえでの当該設備及び附属設備等の機能の面から、当該設備と社会通念上一体のものとして日常礼拝の対象とされているといってよい程度に密接不可分の関係にある相当範囲の敷地や附属設備も当該設備と一体のものとして「これらに準ずるもの」に含まれるものと解すべきである

 

 

 

☆今日現在(H30.8.1)の情報です☆

 

税理士

音谷麻子

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