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短期前払費用のインボイス経過措置|80%・70%控除はいつの時点で判定する?

消費税

令和8年10月1日から、適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れについて適用される経過措置の控除割合が、80%から70%へ変更されました。

1年分の保守料金などを前払いした場合、80%と70%のどちらの控除割合を適用するのでしょうか。

今回は、短期前払費用の取扱いを適用している場合と、支払いと役務提供が同じ事業年度内に完了する場合に分けて、控除割合の判定方法を確認します。

※本稿では、役務提供者が適格請求書発行事業者ではない場合を前提としています。

まず、短期前払費用に該当するかを確認

前払費用とは、一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち、その事業年度終了の時において、まだ提供を受けていない役務に対応するものをいいます。

前払費用は、原則として、支払時に資産として計上し、役務の提供を受けた時に費用として処理します。

ただし、支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係る費用を支払い、その支払額を継続して支払日の属する事業年度の損金としている場合には、「短期前払費用」として、支払時に全額を損金算入することが認められています。

消費税についても、この取扱いを受ける短期前払費用は、その支出をした日の属する課税期間において課税仕入れを行ったものとして取り扱います。

ここで注意したいのは、1年分の料金を前払いし、支払時に全額を費用として処理していれば、必ず短期前払費用の取扱いになるわけではないという点です。

支払日と役務提供の完了日が同じ事業年度に属する場合

たとえば、12月決算法人が、令和8年1月に、令和8年1月から12月までの1年間分の保守料金を支払ったとします。

この場合、令和8年12月末までに役務の提供がすべて完了するため、事業年度末に未提供の役務は残っていません。

法人税上、1年間分の保守料金が令和8年12月期の損金になることに変わりはありませんが、これは短期前払費用の取扱いによって支払時に損金算入されたものではありません。

したがって、消費税の経過措置についても、単純に「令和8年1月に支払ったため、全額について80%控除」とすることはできません。

この場合には、契約内容に応じた通常の課税仕入れの時期により、控除割合を判定します。

たとえば、契約期間を1年間とし、料金を年額で定め、1年間で一つの役務が完了する契約であれば、役務の全部が完了した時点の控除割合を適用します。
令和8年12月に役務が完了する場合には、令和8年10月1日以後の課税仕入れとなるため、原則として、保守料金の全額について70%の控除割合を適用します。

一方、月ごとに役務の提供が完了する契約であれば、令和8年1月から9月までの部分には80%、同年10月から12月までの部分には70%の控除割合を適用することになります。

このように、同じ事業年度内に支払いと役務提供が完了する場合には、契約上、役務の提供がいつ完了するものとされているかを確認する必要があります。

事業年度末に未提供の役務が残る場合

これに対し、3月決算法人が、令和8年1月に、令和8年1月から12月までの1年間分の保守料金を支払った場合には、令和8年3月末の時点で、同年4月から12月までの役務がまだ提供されていません。

この保守料金について、法人税上、短期前払費用の取扱いを適用し、支払った事業年度に全額を損金算入している場合には、消費税についても、令和8年1月に課税仕入れを行ったものとして取り扱います。

したがって、役務提供期間の一部が令和8年10月1日以後に及んでいても、1年間分の保守料金の全額について、支出時の控除割合である80%を適用することができます。

整理すると、次のようになります。

具体例 短期前払費用の取扱い 控除割合の判定
12月決算法人が1月に同年1月~12月分を支払う 事業年度末に未提供部分が残らないため、短期前払費用の取扱いではない 契約内容に応じた通常の課税仕入れの時期で判定
3月決算法人が1月に同年1月~12月分を支払う 要件を満たせば短期前払費用の取扱いを適用できる 1年間分の全額について、支出時の80%を適用

経理上、支払時に全額を費用として処理したという事実だけで判断するのではなく、事業年度末に未提供の役務が残っているか、その支出について法人税又は所得税上の短期前払費用の取扱いを実際に適用しているかを確認することが重要です。

参考

国税庁|インボイス制度に関するQ&A 問98「短期前払費用」

国税庁|インボイス制度に関するQ&A 問113-3「令和8年10月1日前後の取引に係る免税事業者等からの仕入れに係る経過措置の適用」

国税庁|インボイス制度に関するQ&A 問113-4「短期前払費用に係る免税事業者等からの仕入れに係る経過措置の適用」

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